オーケストラで人気の楽器

もしオーケストラの演奏会を聴きに行ったとしたら、何に注目しますか?

オーケストラは、あらゆる音楽形式の中でも特に楽器の種類が多いもののひとつです。オーケストラ全体が奏でる巨大な生き物のような音に身をまかせるもよし、1つの楽器にとことん注目して演奏家たちの職人芸を堪能するもよし、楽器同士の絡みに注目して新たな発見をするもよし。様々な楽しみ方ができて飽きません。

 

今回は、その中でも、特にメロディを担当することの多い人気の花形楽器3つをご紹介します。

ヴァイオリン

 

オーケストラの弦楽器の中でもっとも高音域を担当する華やかな音色の楽器。本来の大きさよりも一回り、ふた回り小さい「分数楽器」があったり、リーズナブルな価格帯の初心者向けモデルが豊富だったりと、習い事としても人気な楽器です。

 

オーケストラにおいては、第1ヴァイオリン第2ヴァイオリンに分かれており、それぞれ違った役割を担っています。

 

第1ヴァイオリン

オーケストラのまさに主役!メロディを弾いていることがたいへん多いです。極端な言い方をすれば、オーケストラの全ての楽器の任務は、メロディを弾く第1ヴァイオリンの音色を豊かに美しく聴かせる、ということです。

 

弦楽器には、お客さん側の最前列にそれぞれ各パートの「トップ」奏者が座っていますが、第1ヴァイオリンのトップ奏者は「コンサートマスター/コンサートミストレス」と呼ばれ、パートのみならず指揮者とオーケストラ全体をつなぎ、率いていく役割を担っています。

第2ヴァイオリン

「第2」という順番づけから、地味なイメージを抱かれがちなパート。しかし、第1ヴァイオリンにぴったりと寄り添ってハーモニーを奏でたり、はたまた中低音の弦楽器と共に伴奏をしたりと、変幻自在に主役をサポートしつつも実は美味しいところをさらっていく、味のあるパートです。

 

ちなみに英語では「play second fiddle(第2ヴァイオリンを弾く)」という慣用句がありますが、「後塵を拝する」、つまり権力者に媚びへつらう(他義もあります)という和訳になっています。一体誰がこの言い回しを使い始めたのかは我々の知るところではありませんが、少なくとも彼/彼女がセカンド弾きではなかったことは間違いないでしょう。

 

両者の役割が大きく異なるのでプロのオーケストラでは募集の段階から第1/第2ヴァイオリンの奏者が分けられていますが、学生オケや市民オケなどアマチュアのオーケストラでは演奏会ごと・曲ごとに入れ替えることが多いようです。

 

フルート

もしお近くのオケマンが「フエ」と言ったら、それはフルートのことです。

管楽器の中で唯一、「横笛」のかたちをしている楽器。涼しげな音色と、金属製のきらきらの管体のおかげで可愛らしいイメージがありますが、実は生易しい楽器ではありません。

 

他の木管楽器が「リード」と呼ばれる薄い板をふるわせて音を出すのに対し、フルートは穴を空気がすり抜けることで音が出る、オケ唯一の「エアリード」。口笛やリコーダーと同じ仕組みです。発音の仕方が他の木管楽器と違うので、音がなじみにくいのです。

 

そのせいか、フルートは木管楽器の中でもダントツでソロが多い楽器です。「宗教改革」の終楽章、オペラ「カルメン」の間奏曲、牧神の午後への前奏曲など、ほとんど誰もいないところで曲のはじめにひとり長大なソロを吹くことも厭いません。

 

「お嬢様」「王子」などといった先入観はもってのほかです。その鋼のメンタルたるや、他の楽器、例えばファゴット奏者やホルン奏者に同じだけの負荷をかけた日には、腹痛で合奏を休んでしまうでしょう。

 

 トランペット

 

最後は金管の花形、トランペット。

吹奏楽では常にメロディを吹いているようなイメージがありますが、実はオーケストラでは比較的出番が少なめ。最後までエネルギーを貯めに貯めて、「終わりよければ全てよし」の「よし」の部分を華麗にかっさらっていく楽器です。

 

なぜ華やかでかっこいい役割が多いのか?そもそも、なぜそのような音色を持つようになったのか?その秘密は、かつてのトランペットの役割にあります。

 

トランペットは、もともと軍楽隊、つまり兵士が行進するときに士気を高めるような音楽を演奏する楽器でした。また、戦争の時に「進め!」というような合図をする役割もありました。ですから、元はと言えば、心を慰める音楽を奏でるものというよりは、遠くまで聞こえる信号とリズムを出せればよかったわけです。

 

トランペットに現在のようなバルブ(ピストン)がついたのは19世紀のこと。ちなみに、おなじ金管楽器のホルンにレバーがついたのもほぼ同時期です。金管楽器にバルブやレバーがつく前は、隣り合った音を出すために、管の長さが違う楽器を何種類も用意していました。

 

吹奏楽やオーケストラの花形として今のように軽やかにメロディを吹けるようになったのは、意外と最近のことなのです!

 

終わりに

いかがでしたか?誰もが知っているような楽器でも、さらに調べてみると知らなかった歴史や役割がわかって興味深いですね。オーケストラの演奏を聴くときに、それぞれの楽器に注目して聴いてみるのもいいかもしれません。

 

 

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