マーチは2拍子、ワルツは3拍子?拍子の種類

「リズム感が良い・悪い」「拍子に乗っている」「グルーヴ感がある」…こんな表現を聞いたことがありませんか?

小学校の音楽の授業では、拍子の種類や楽譜の読み方を教わります。でも、そもそも拍子(ひょうし)とはなんなのか、なりたちや背景については知っているようで知らない人も多いかもしれません。

クラシック音楽のみならず、五線譜で書かれた西洋音楽を演奏するのには欠かせない「拍子」。今回の記事では、拍子の秘密に迫ります。

拍子ってそもそも何?

突然ですが、あなたはメトロノームに合わせて踊りたくなりますか?アラームの電子音に合わせてスキップしたくなりますか?あまりなりませんよね。非常に気分が良いときでもない限り、メトロノームで踊り出すのは至難の技です。

しかし、ジャンルに限らず、音楽を聴いていると自然と体を動かしてリズムを取りたくなります。音楽を専門としている人でなくても、高校の軽音部の演奏に合わせて裏拍をとることができます。

このように、音楽に合わせて歩いたり踊ったりするのは、いわば人間に生まれつき備わった本能のようなものなのです。西洋の文化に限らず、古今東西、人は踊りのお供として音楽とともに生きてきました。

例えば、日本では五線譜が存在しなかった時代から庶民が踊れる「盆踊り」とその伴奏がありましたし、アフリカには文字による記録がなくとも口伝による独自の音楽や踊りを持っている少数民族がいます。

人が音楽に乗って踊れるのは、それらの音楽に拍子があるからです。メトロノームのカチカチを音楽に変えるのが「拍子」の役割です。わかりやすく言えば「強い拍と弱い拍の組み合わせ」ということができます。

強い拍から弱い拍へ、弱い拍からまた強い拍へ、そのようにして音楽の流れを生み出すのが「拍子」なのです。

拍子にはその国や地域の文化によって様々な形がありますが、西洋クラシック音楽においては、拍子の中の拍同士の関係がかなりきっちりと決まっています。ここからは、クラシック音楽で拍子がどのような働きをしているのか、紹介していきたいと思います。

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拍子は全部で何種類?

ずばり、拍子の種類は大きく分けると2種類です。細かく分けるとたくさんありますし、現代に近くなればなるほど例外も多く登場しますが、西洋音楽の多くは、2拍子系「行進曲」と3拍子系「ワルツ」がベースになっています。

拍子系:前に進む音楽

世の中の多くの人間には足が2本ついています。ヒトの文明は足の本数が変わってしまうほど長くはありませんから、古代の作曲家たちも2本足で歩きながら音楽を頭に思い浮かべたのではないかと想像されます。

歩くときは右と左を交互に出してリズミカルに歩きます。右足を出しながら左足で地面を蹴り、その蹴った左足を前に出し、脈々と続く一連の動きによって前に進んでいきます。

2拍子系の音楽はこの「歩く」動きにのっとってできているので、2の倍数で1セットになっていながらも、それぞれのセットどうしにつながりがあって、全部合わせると1つの大きな流れになっている、という特徴をもっています。

4拍子・6拍子なども、大きく分けると同じ2拍子系に分類されます。

拍子系:回る音楽

2拍子が「歩く」動きから来たのに対して、3拍子系の音楽は「踊る」動作にルーツがあります。ワルツのつくりを分解して考えてみましょう。

ワルツの優雅なメロディは、必ず「1・2・3・1・2・3・1...」というカウントの上に乗っています。この3つの拍には重さの違いがあります。

円の頂点からカウントが始まり、「1・2・3」で1周すると考えます。重力があるので、進む速さは一定にはなりません。「1」で一番下までいき、そのあと「2・3」をかけて元の位置に戻り、また1拍目で下までいき...というようなイメージで動きを繰り返します。

つまり、1拍目を打ったらその惰性で2・3拍目が軽く続き、また次の1拍目につながる、といったイメージです。

ワルツのステップは1拍目が重く2・3拍目が軽くなっていますし、バレエの振り付けも2、3拍目に準備して、跳ぶ・回る・動くといった大きな動きが1拍目に来ることがほとんどです。

3拍子の拍それぞれを3つに分けた9拍子、4つに分けた12拍子など拍子系の仲間に入ります。

また、2+3で5拍子、3+2+2で7拍子など、①②に分類されないものもあります。

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おわりに

いかがでしたか?五線譜の端っこにちょこんと書かれている拍子記号が、演奏する上でどんなに大切な役割を果たしているがお分かりいただけたでしょうか。

拍子に限らず、音楽のルーツや当時の人々の音楽の楽しみ方が楽譜から透けて見えると、演奏の楽しみがさらに広がりますね!

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